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第12回地域経済研究センターシンポジウムを開催しました

 2024年2月23日,地域経済研究センターシンポジウムが開催されました.今回は「企業・行政・社会はデジタルトランスフォーメーション(DX)でどう変わるか?」をテーマとして開催され,一般市民や学生を中心に100名以上が参加しました.

 第1講演では,日本アイ・ビー・エム IBM Garage シニア マネージング コンサルタントの黒木 昭博氏により,「顧客本位のDXの実践」と題する報告がなされました.黒木氏は,本学経済学部の卒業生であり, 様々な企業の新規事業戦略の策定や組織改変の支援に取り組まれてきました.講演では,デジタル化をありたい姿を目指して変革するための手段一つと位置付け,未来志向でのビジョンの策定がDXの前提となることが指摘されました.そのうえで,ビジョンを実装するためには組織内でのビジョンの共有と,人間の体験を起点とした課題から生まれる価値創造が重要となることを訴えました.

 第2講演では,日本政策総研理事長・取締役の若生 幸也氏により,「デジタル田園都市国家構想と自治体DXに必要な視点」と題する報告がなされました.若生氏は,北海道大学公共政策大学院専任講師等の経験があり,自治体経営改革支援に長年取り組まれてきました。講演では,デジタル田園都市国家構想は地方創生政策と同じ構図を有すること,交付金額が大きいため小規模自治体では管理が追いつかず,コンサル会社に依存するケースが目立つことを指摘し,そうした問題を回避するためには自治体が政策評価プロの目利きを利用して監視体制を整備する必要性を訴えました.

 第3講演では,立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部助教の眞田 貴絵氏により,「日本のスマートシティ政策と地域格差」と題する報告がなされました.眞田氏はストックホルム商科大学研究員を兼務されていることから,世界におけるスマートシティ研究の動向を紹介し,スマート化とは都市問題に対する技術的解決策を見つけることであると述べました。次いで実証面に視点を移し,スマートシティに関わる日本政府の補助金が大都市に手厚くなっている現状を見た後,日本の地方都市での希有な成功例として岡山県真庭市における木材産業を中心とした循環型経済モデルを紹介しました.

 これらの講演ののちに,大分大学経済学部の甲斐准教授をコーディネーターとして,登壇者によるパネルディスカッションが行われました.各報告が示した論点に加えて,DX以上に人口に膾炙しているSDGs(持続可能な開発目標)の再評価などについて,活発な討論が行われました.

 シンポジウム参加者による評価は非常に高く,事後アンケートによると,「総合的に判断して今回のシンポジウムは良かった」の質問に対して「そう思う」「どちらかというとそう思う」との回答が,100%を占めました(有効回答数:102).また,「地域に開かれた大学として有意義な講座だった」「DXをより身近に考えることができるようになった」などの感想も寄せられ,実り多いシンポジウムとなりました.

 なお多数のご参加により会場が満席状態となりましたが,大学入試の都合上,会場変更が叶わなかった点,改めてお詫び申し上げます.

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