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第26回イノベーティブ経済セミナーを開催しました

 

2025年(令和7年)2月22日(土)、大学院経済学研究科イノベーティブ経済セミナーをJ:COMホルトホール大分サテライトキャンパスおおいた講義室にて開催いたしました。共催する四極青雲会(大学院同窓会)のメンバーを中心に約20名の参加がありました。大学院委員長の宮町教授の冒頭のあいさつを受けて、四極青雲会の高橋副会長から講師紹介がありました。続いて国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会会長の林 浩昭氏から「広葉樹林でのイノベーションの歴史と未来~原木乾しいたけ産業~」という演題で講演がありました。

 講演では、まずファミリーヒストリーを交えた自己紹介がありました。林氏は大分県東国東郡安岐町(現国東市安岐町)に生まれ、東京大学農学部および大学院農学系研究科を修了後、東京大学大学院助教授として教壇に立たれました。40才台半ばで退職後、故郷国東半島に戻られ農林業を自営するかたわら、JAくにさき代表理事常務、大分県立農業大学校校長、大分県農林水産研究指導センター顧問など数多くの役職を歴任されています。次いで原木乾シイタケ生産の現状を統計データに依拠して解説されました。全国的な生産は1980年代をピークに大幅に減少したものの、大分県の減少幅は小さいため2020年代の全国シェアは4割に達しています。原木乾シイタケは、クヌギなど原木の伐採、シイタケの菌が入った種駒を打ち込む駒打ち、原木を寝かせる伏せ込み、ほだ場への移動、発生と採取、乾燥という過程を経て生産されますが、AI選別機の導入などイノベーションが進んでいます。原木乾シイタケは、輸入品の多い菌床シイタケに比べて価格が高いため生産量は伸び悩んでいますが、クヌギ林の伐採などを通じてCO2の発生抑制に大きく貢献していることがデータによって示されました。栽培用の水源となるため池にはオオサンショウウオなど稀少生物が生息しており、クヌギ林とため池によって農林水産循環が実現していることを力説されました。ユーモアあふれる説明に参加者一同が強い共感を覚えました。

 講演後の質疑応答では、シイタケ生産の工場化や菌床シイタケとの差違等について意見交換が行われました。セミナーの最後に、四極青雲会の伊藤会長よりご挨拶をいただきました。今後とも本セミナーを開催することで大学院研究科の有する知見を多くの皆様と共有してまいります。