前回まで大分トリニータ経営企画部 河野副部長からお話しを聞いたり、フィールドワークを行ってきたソーシャルイノベーション・ワークショップ。DAY4ではいよいよ、それらのインプットから、具体的に「デジタルネイティブとトリニータをつなぐアイデア」を考える『アイデアソン』を行いました。
『アイデアソン』とは、アイデアとマラソンを組み合わせた造語であり、多様なバックグラウンドを持つ4~5人を1チームとしてアイデアを練り上げるイベントです。近年では一般企業や自治体などから社会課題の解決やビジネスアイデア創出の手法として注目を集めています。この日は富士通、地元企業、他大学の学生、NPO等からも多数の参加がありました。
Day 4の流れは下図をご覧ください。
今回は、この1日のうちで特に印象に残った前半戦の「ペアでのアイデアブレインストーミング」と後半戦の「チームでのアイデアのブラッシュアップ」についてお伝えします!
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アイデアソン前半戦:ペアでのアイデアのブレインストーミング
─とにかくほめてほめてアイデアを出す!
アイデアソン前半では、ペアになってアイデアを出していくペアブレストを行いました。ここでは平凡そうなもの、実現性の低そうなものも含めて、何でも自由にアイデアを出します。いろいろな人と気軽に話すこと、面白いことを話し合える人と出会うことが目的です。
「コツは、とにかくほめること!」ということで、相手の出したアイデアの良い点をみつけてとにかくほめまくりながらアイデアを出し合いました!
5分単位でペアを変えていくので、今まで話したことがない人とも話しましたが、お互いをほめ合うことでアイデアを出しやすく感じました。短時間でたくさんのアイデアを出すのは難しかったのですが、お互いが良いと思ったアイデアがふくらみ、そこからまた新しいアイデアが生まれるようなこともありました。

(左) ぺアでのアイデア出しの様子 (右) 1分間で話したことや新しく思いついたことなどをメモ
アイデアソン後半戦:チームでのアイデアブラッシュアップ
─身体と頭とモノをフル活用してアイデアを発展させる!
後半戦では、ペアブレストの後、個人でのアイデア出し、投票を経て結成したチームごとに、アイデアをブラッシュアップしていきます。まず、アイデアを「かたち」にするために“ラピッドプロトタイピング”と呼ばれる手法を用いてアイデアの試作を行いました。
“ラピッドプロトタイピング”とは、おもちゃのブロック、紙粘土、模造紙、マジックペンなど身近にあるもので、サービスの実際の利用シーンや製品を簡易的に表現する手法のことです。
この作業では、大分トリニータとデジタルネイティブ世代の関わりを広げることを意識して、とにかく身体と頭とモノをフル活用しアイデアをさらに展開することが重要となります。どんなアイデアでも、一度展開してみることが大切なのだと学びました。

各チームでアイデアをブラッシュアップ
そして、ラピッドプロトタイピング後の90分間でチームごとに発表の準備をしました。ここでは、大分トリニータとデジタルネイティブ世代をつなぐアイデアをブラッシュアップするだけでなく、そのアイデアが大分の社会にどのような影響を与えるかまでを考えます。中には、チーム作りのときとはまったく違うアイデアをこの時間でかたちにして発表に臨んだチームもあり、短時間でも意見を言い合い、議論を深めることが良いアイデアをうみだすためには重要なのだと実感しました。
そしてついにプレゼン…
優勝チームのアイデアは、フィールドワークとして大分銀行ドームに訪れた際、グラウンドと観客席の間に大きな隔たりがあるというスタジアムの形状の欠点に着目したものでした。その場所に電子パネルを設け、スマートフォン等で各地域より送信されたメッセージをリアルタイムに表示することで、スタジアム外で試合観戦をしている人とスタジアム内で観戦している人とが一体化できるようにするというアイデアでした。
準優勝チームのアイデアは、試合中の好プレーやミス、優劣勢状況に対する観客の動作を色彩や数値により可視化することで選手と観客との連携を強めようとするアイデアでした。
その他には、
・各所属選手の詳細情報を等身大のデジタルパネルに表示、ボタンを押すことで選手の生声やプロフィールが簡単に受信できるサービス
・無料動画サイトYouTubeを用いて、チームの公式番組を制作することで選手の個性や感性をより多くの人に知ってもらうアイデア
などがプロトタイプも用いて発表されました。 どのチームも、自分たちのサービスやその価値を伝えようと、一所懸命に説明をしていました。

各チームプレゼンの様子
各チームのアイデアは、Creativity(独自の着眼点や体感が得られるのか)、Goodness(地域に新たなインパクトを与えられるか)、Potential(ビジネスの成長性が見込めるのか)、Team&People(メンバーのイノベーションの実行力が感じられるのか)の観点で審査されました。
審査は大分トリニータ社長(当時)の青野さん、富士通 あしたのコミュニティーラボの柴崎さんをはじめとする3人によって行われました。
順位は付きましたが私たち学生にとっては貴重な体験になりました。このアイデアソンを通して、意見を出し合い、お互いの意見を尊重しつつ、より良いものに発展させていくことの難しさや、チームのメンバーと目標に向かって協力することの大切さを身に染みて感じました。
<執筆者>
Qさん、Rさん、Sさん、Tさん、Uさん、Vさん
<リンク>
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Day1:学生・教員・社会人で共に課題を発見し、解決策を考える
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Day2:経験・体験を求めてフィールドワークへ
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Day3:フィールドワークを通じて見えてきた課題とは!?
・Day4:アイデア対決!!!
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Day5:大分トリニータとデジタルネイティブを繋ごう-プロジェクト最終日