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地域経済研究センターシンポジウムを開催しました

 2022年8月6日,地域経済研究センターシンポジウムが開催されました.今回は,「人口減少時代の地域づくり」をテーマとして開催され,新型コロナウイルスの感染拡大による2度延期の末に2年ぶりの開催となりましたが,一般市民や学生を中心に100名が参加し,熱気を帯びたシンポジウムとなりました.

 第1講演では,国立社会保障・人口問題研究所の小池司朗氏により,「社人研推計による地域別の将来人口見通しと新型コロナウイルス感染拡大に伴う近年の人口移動傾向の変化」と題する報告がなされました.小池氏は,国の人口推計に長年携わっている人口動態分析の第一人者です.講演では,地方における人口減少は社会減以上に自然減が大きな要因になりつつあること,新型コロナウイルス感染拡大に伴う首都圏からの人口流動は大都市圏から遠く離れた地方圏では影響が限定的であることなど,大分県の人口減少を考えるうえで重要な論点が,最新データをもとに説得的に示されました.

 第2講演では,年金シニアプラン総合研究機構の西岡隆氏により,「人口減少時代の地域づくりとデジタル田園都市国家構想がめざすもの」と題する報告がなされました.西岡氏は,国のまち・ひと・しごと創生本部において地方創生の司令塔を務められ,また,臼杵市でもコミュニティ推進室長や理事として,人口減少対策に取り組まれてきました.講演ではこうした経験をもとに,人口減少に対する国の政策の最新動向と,地方自治体,とくに臼杵市での取り組みとその成果が,具体的に紹介されました.

 これらの講演に続いて,人口減少に直面する現場での取り組みとして,コミュニティサポートおおいたの清水敦史氏により,「大分県内のRMO(地域運営組織)設立支援について」と題する実践報告がなされました.清水氏はRMOの設立支援のための法人を立ち上げて現場で精力的に活動されており,そうした実践についての報告がなされました.

 これらの講演・報告ののちに,大分大学経済学部の大呂教授をコーディネーターとして,登壇者によるパネルディスカッションが行われました.人口動態とその背景,人口減少を抑止する国・地域の政策の内容と効果,人口減少下での地域活動のあり方といった,各報告が示した論点に即して,会場からの質疑も交えて活発な討論が行われました.

 シンポジウム参加者による評価は非常に高く,事後アンケートによると,「総合的に判断して今回のシンポジウムは良かった」の質問に対して「そう思う」「どちらかというとそう思う」との回答が,99%を占めました(有効回答数:84).また,「大分県の実情にあったシンポジウムで大変参考になった」「地域づくりのヒントが多面的に得られた」などの感想も寄せられ,実り多いシンポジウムとなりました.